carcon999のブログ

12年間Y!ブログの記載を移行しました。電子工作関連の記事が多いです。

MPC73831の充電ICの類似品に注意しよう

■概要
リチウムイオンポリマー充電回路を設計して、実装したところ動作が少し変で困ったときの話です。結論としては、怪しいお店から重要な部品を調達するのは注意しようということなのですが、リポは扱いをまちがえると重大事故にもつながるので注意したいです。ということで同じ問題に直面することがないようにブログにまとめることにしました。つい先日も、飛行機内でイヤホンのリポが爆発したような事故(gigazine)もあったようですし・・・

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■問題の現象
microchipのリポ充電管理コントローラIC(MCP73831)を利用するオリジナル基板を作りました。この基板に、リポを接続せずに充電回路に電源を与えると、充電ステータスLEDが発振(ON->OFF->ON->OFF・・・)する現状になりました。つまり、充電する相手がいないのに充電を短い時間で繰り返しているような状況です。未接続の状態で、こんな状態なのにリポを本当に接続しても良いものかと考えると不安になりました。


※実は、この動画の基板は昔利用したときの古い基板です。比較を行えるように、昔の回路に同じ部品を実装したら動作が違う!

■現在の回路は・・・?
データシートの推奨回路を使っているので基本こちらの回路です。この図には、リポが接続されていますが、これを接続せずに試しています。

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データシートの推奨回路から抜粋

STATがあり、充電状態をLEDで確認できます。ICで状態管理しており、充電中は点灯、完了すると消灯するような表示になります。こちらもデータシートからの抜粋です。充電中はL=点灯ということになります。

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■少し実験してみる
ブレッドボードで実験してみます。気になるのは、VBATに接続されているコンデンサの容量ぐらいですが、結局推奨値を利用しているので実験するにも、限度がありました。確かにこのコンデンサを容量が大きいものに変更すると点滅の周期は少しだけゆっくりなるようでしたが、完全に抑えることはできませんでした。
オシロで、充電ステータスや電流量・・・とも思いましたが、そこまで実験しませんでした。

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■そういえばロット番号が違うぞ~
じゃあ、何が問題なの?とデータシートを見直すと、推奨するPCBレイアウトというのがありました。
「え?推奨レイアウトじゃないと動かない?」と思いましたが、そういえば利用しているMCP73831のロットの番号が違うなぁということに気づきました。手持ちで調べると4種類ありました。

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画像では見えないかもしれませんが、左から順番にKD80、KD51、KDAP、KDRBと読めます。
こちらもデータシートからですが、KDNNということでNNは任意の英数らしいです。

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あと、良く見るとICの表面がざらざらしているものと滑らかな方があります。

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左側がざらざらしているのが分かりますでしょうか?
ここまで、ロットで表面に違いが出るのか・・・?
ちなみに、あやしい動きをする方が右のツルツルしている方(KDAP)です。

■偽物?
これは、もしかしたら偽物か?と思いましたが、どうやら同じような充電ICが多数中華チップであるらしいのです。ツイッターで教えていただいたのは、TP4054というもの。ピンのレイアウトは違うようですが、探せば同じものもあるらしい。

でも、私はとある店舗でMCP73831というパッケージで販売されているものを購入したので、これはチョット梱包ミスなのか互換品なのかわからないけど気を付けてもらわないとダメですよね~。
この梱包を見たらわかる人は分かると思いますが、女性店員しかいないあのお店です。

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まとめ
MPC73831を利用する際は、似たようなICをその名前で販売しているお店があるので注意しましょう。
ただし、そのICで充電ができない訳ではなく、充電できてしまうので気になる方は出所がしっかりしたお店で購入しましょう。
これは、このICに限ったことではありませんが、リポは下手すると発火の可能性もあるので特に注意したいです。