carcon999のブログ

12年間Y!ブログの記載を移行しました。電子工作関連の記事が多いです。

トースターリフローを両面対応にする

■概要

今回は、2年前に作成したトースターリフローを改良して両面実装できるようにしました。
結論から言うと、下記の方法でトースターを更に改造するよりも、プロファイル(温度の特性制御)をしっかり測定して調整すれば両面実装できると思います。
★改造はリスクを伴いますので自己責任ですよ。まあ、こんな面倒な移設はやらないと思いますけど。

■はじめに

丁度、2年前にソースターを改造してリフロー炉を作成しました。
https://blogs.yahoo.co.jp/carcon999/38720513.html

リフローで両面基板を実装しようとしたときに、部品が落下し痛い思いをしたことがあり、それ以来基本的に両面実装を敬遠していました。
※どうしても必要な場合は、カプトンテープで裏面部品を固定するなどして対応してました。

今回、本気で両面実装を確実に成功させたいのでトースターの改造を思いつきました。
利用しているトースターは、上下に電熱線が2本づつ入っているタイプのモノで、上下からむらなく温めるタイプです。

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写真ではわかり難いですが、上下に2本ずつ入っています。

機種によっては、上面/下面/両面の切り替えスイッチが付いているタイプもあると思います。残念ながら私のは付いていません。両面実装するならば、『下面からの熱を止めれば良いだろう』ということで、改造することにしました。単に、下面を切ってしまうと出力が弱くなってしまうので、下面の一本を上面へ移設して、上面3本+下1本構成にします。

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■一本を移設する

下面の一本を抜き出して、上面に移行します。ただし、上面に取り付け穴がある訳じゃないので、2本の中間位置に穴を開けます。ドリルで加工穴をあけてから、ハンディニブラでバキバキっと穴を加工します。

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配線は、間違えないように注意します。といっても、一本の位置を移動するだけなので間違える可能性は少ないですが、私の場合は、ケーブルが短いので継ぎ足しを行いました。熱を発する装置に使うケーブルなので耐熱ケーブルを利用する必要があります。間違っても普通のケーブルを使わないようにしましょう。また、結線するのも単により合わせるだけでなく、しっかりと圧着できるように圧着端子と工具も準備します。

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無事に移設が完了しました。下のオリジナルが入っていた穴は耐熱アルミテープで塞いでおきます。

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■電源を入れてみる

配線を確認したら、電源を入れてみます。
あれ?『移設した、1本の明るさが違う!』

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追加した中央の電熱線が少し左右の2本と比べ暗いのが分かります。

確認してみると、上の2本と、下の2本で電熱線の抵抗値が異なりました。上2本は、1.5Ω程度、下2本は、9Ω程度です。
多分、利用している電熱線が違うんですね。なので、完全に同じ明るさとはならないようです。
※もう一台購入して、部品取りすれば・・・というのもありますが・・・

ここは、あまり頑張らないことにします。

■プロファイルを確認

出力のバランスが変わったので、温度プロファイルを確認します。
ここは、いろいろゴニョゴニョして、それなりの目標に近い値に調整します。
私は、3回微調整して写真の系列3にあるようなプロファイルにしました。

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最初150℃までの立ち上がりを少し滑らかにした。

■重要なのは裏面の温度

プロファイルの設定を確認しながら、部品が落下するのは基板裏面の温度が重要なんだよなぁ・・・
と、考えていました。でも、熱電対をもう一本用意しなきゃならないし・・・
そんな簡単に・・・

あ!

普段使いじゃないテスターに熱電対が付いていたのを思い出します。

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秋月の[MS8221C]で温度が測定できます。これだ!

■両面の温度を測定してみる

表面は、いつもの温度制御用の熱電対を取り付け、裏面はテスターの熱電対を取り付けます。残念ながらテスターは、手動で読み取らないといけないので5秒毎に読み取るようにします。

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さらに、トースターの中で基板を網の上で焼いた場合と、アルミトレイの上で焼いた場合を測定してみることにしました。

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実際の測定結果は以下です。

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左側が網、右側がアルミプレートです。
オレンジ色(系列2)のドットで見える線が下面の温度です。
分かり易いように、融点をグレー(系列3)で表示させまてみました。
これで、見てみると網でも、アルミプレートでも融点を超えないので大丈夫のようです。
さらに、アルミプレートの方が余裕がありそうなので、そちらを採用することにします。

※電熱線を移設する前に測定すべきだったことをこの時思いました。涙

■まずは表面リフローします。

まず、表面は普通にリフローします。

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■次は裏面の実装

ただ、ここで一つ問題があります。
はんだペーストを塗る際に、実装済みの部品があるとボコボコしてそのままでは綺麗にできません。
そこで、100均で売っているようなカラーボードを使います。厚みが10mm程度あり、加工も簡単なのでカッターで穴をあけます。

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こんな感じで、掘りごたつの要領で部品があたらないようにくり抜きます。

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あとは、表面と同じようにできます。

■裏面焼きます。

焼くときに、少し下駄をはかせて浮かせる必要があります。
この写真のように、左右にアルミレールをカプトンテープで固定し裏面を浮かせるようにしました。

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あとは、焼いてしまえば完成!

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部品が落ちることもなく、両面でも不良もなくいい感じに仕上がりました。

■最後に

多少準備は必要になりますが、両面でも上手く作れることが分かりました。
ただし、手間は増えるので、片面で仕上げることができるのであれば、片面の方が楽ですね。
最初にも書きましたけど、電熱線を移動せずとも、プロファイルをうまく最初に調整していれば上手くできた可能性が高いです。なので、もしトースターで両面やる場合は、裏面の温度特性を測定してみることをお勧めします。

あとは、お金が許せば中華の実装サービスを利用するのが良さそうですね。
いつか試したいと思っています。